「どうしたの。終わりだなんて、さみしいこと言って」
<小市民>シリーズの第３作。
発売日が伸びに伸びて、結局３年待たされた。
その間にタイトルが「マロングラッセ事件（仮）」から「栗きんとん事件」へ変更。
ミステリー的にはタイトルは「マロングラッセ」になるべきだけど、あえて「栗きんとん」にしたということは作者が「栗きんとん」のほうを書きたかったから、と考えていいんだろうか。
上巻はなんだかんだ言って小佐内さんのことが忘れられない小鳩くんににやにや。
「春」と「夏」を読んだ、ミステリ慣れしている人には恐らく上巻の時点で犯人や真相の見当がついてしまうかも。
その多くは下巻で揺らぐだろうけど。
犯人の動機が一番最後の一行で明らかになるのなんて、たまらないね。
読書経験があまり多いとは言えないので安易に比較してしまうんだけど、優秀すぎるがゆえに社会的不適合者というのは戯言シリーズを思い出す。
もちろん他にもたくさんあるけど、青春ミステリを銘打つならやっぱりこれだろう。
まぁ乙一とかでも別にいーんだけど。
結局戯言は単なる能力者バトルになっちゃったんだけど（面白かったけど）、つまり米澤穂信みたいなことが書きたかったんだろうと思う。
それができなくてラノベに身をやつしてしまったわけだけど。
でも「さよなら妖精」を萌え絵でラノベのレーベルから出したら、最高だと思うんだけどな。
この「秋期限定栗きんとん事件」も「さよなら妖精」に負けないぐらい面白い。
前作、前々作から最後には必ず、主人公vsヒロインになるのはわかってるのにわくわくする。
「夏」から２人が至った結論は甘いのかはたまた苦いのか。
小佐内さんのキャラが魅力的すぎる。
これこそ「萌え」だ！
それに加えてピカレスクロマン！
「冬」は２人の過去話になると予想。
