山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

【ネタバレなし】ピングドラム全話観終わった感想

実家帰らにゃならんので時間ないけど!

見る人を選ぶ作品だったなー。

バトルものが好きな人には全然面白くないと思う。

「主人公は一体どうやってピンチから脱出するんだ・・・」みたいな楽しみ方をする人は他のアニメ見たほうがいい。

「ここで作者は何が伝えたかったんだろう」って考える人はなかなか楽しめるアニメ。

なので理系()の人は「ダメだ・・・もう我慢の限界・・・」となってしまうだろう。

で、最終話まで終わって、ぼくなりに監督が伝えたかったことを要約すると

人間はいつか死ぬ。塵ひとつ残せない。(=何者にもなれない)

それみんなは登場人物のように生まれた時からあらかじめ何かを失っているから。

でも生きている間に「運命の果実を一緒に食べる」(=人を愛する)ことができれば、生きている価値があったのではないか。

というようなところだと思う。

まぁこれだけ読んでも「なるほど」って思えるのなら作品を作る意味ないんけど、本当に一言でまとめるならそういう話だった(と、ぼくは考える)。

個人的にそういう話はあんまり好きじゃない。

なんだか「一般市民のぼくたちは普通に働いて結婚すればおk」って言われてるみたいだからだ。

まぁイクニ監督は格好やら作品やらからして、なかなかに珍しい生き方をしてきた上でこのメッセージなのだろう。

でもこういう「何のために生きるのか」系だったら黒澤明の『生きる』みたいなメッセージのほうが好きだな。

あっちは「何かを作る」ことが生きることだと言っていた(とぼくは勝手に解釈している)。

そこらへんは時代の違いなんだろうか。

黒澤明の時代では「生きて、人を好きになる」なんてメッセージは当たり前すぎてメッセージとならなかったんだろうか。

そして今の時代はそうじゃなくなってしまったんだろうか。

どっちにしろ、ぼくがもう少し年を重ねたら感じ方が変わるかもしれない。

言っていたのが宇野常寛だったか誰だったのか記憶が曖昧なんだけど、震災後の日本はBLを求めている、って。

Tiger&Bunny』のような、ピュアな「絆」をみんなが求めていた、と。

その通りなら、家族愛の話である『ピングドラム』をこの2011年にやったのは確信的なんだろう。

このアニメの時期の話なら、「世界線を乗り越える」手段が出てくるのに、『まどか☆マギカ』とか『シュタインズゲート』みたいに何度も繰り返さないところも語りたい。

見てる途中、「全部なかったことに系は食傷気味だなー」と思ってたけど、そこはうまいことやってくれた。

ぼくはギャルゲみたいな話は好きじゃなくて、もっといえば「もしも」の話が嫌いだ。

女の子の中からひとり選ぶなんてできないよ!

で、うまく行かなかったらリロード…ってのもなんか納得いかない。(いやまどマギもシュタゲも面白いけども)

ピングドラム』の最後は見ようによってはバッドエンドなのかもしれないけど、イクニ監督は主人公たちにうまく行くまで繰り返させなかった。

「ぼくの罪も罰も全部分け合うんだ」っていうセリフは、すべてをまどかが背負った『まどか☆マギカ』と対照的に見えた。

さらに言えば、「選んでくれてありがとう」なんてセリフが繰り返し出てくるんだけど、そんなこと言われちゃ「さて、次は苹果ルートか」なんて考えられない。

いろんな同人誌が出るんだろうけど、『ピングドラム』に「もしも」は似合わないと思う。

最終話に納得がいかないって人もたぶんいるんだろうけど、ぼくはあれ以外の終わり方を想像したくないな。

あれでいいし、あれがハッピーエンドだと思う。

キャラクターを描いてるんじゃなくて、どう生きるかについて描いてるんだから。

苹果ちゃんがいかにいいキャラしてても、それはあくまで副産物。

その辺のことを考えるとまたほかのアニメと対比できそうだけど、時間がないからこのへんで。