山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

2013/12/16

野宿に失敗した僕は始発で静岡へ。

とはいえもうこの時には静岡に帰る気なんてなかった。

18切符を使うんだから、もう少しどこかに足を伸ばそう。

静岡を通りすぎて、ひとまず熱海で降りた。前の日も風呂に入らなかったので、温泉に行って頭を洗いたかった。

熱海は東京のついでにたびたび立ち寄っているんだけど、今までお気に入りの場所を見つけてない。

駅前のホテルなんか、日帰り入浴で3000円もするのだ。

寂れた退廃的な雰囲気と、張り巡らされたパイプや排水口から白い煙が立ち上るスチームパンクみたいな情景は好きだから、どこか安く温泉に入れる場所さえ見つければ中継地として都合が良くなる。

大体こういう温泉地はどこかに公営の安い温泉があるんだけど、熱海の場合は湯船の床は剥がれていて、洗い場はヌルヌルでかびだらけと最悪だった。

到着したのはまだ朝の10時くらいで、時間には余裕がある。しばらく熱海の町を歩いて良さそうな温泉を探すことにした。

30分くらいぶらぶらしたら、400円で入れる古い地元の人が使うようなお風呂屋を見つけた。

まだ営業していなかったけどすぐに開くそうなので中に入れてもらって、ついでにスマホの充電もしてもらった。

温泉の周りを壁と天井で囲っただけのような所で、湯は掛け流し。湯に浸かった部分が熱さで赤く染まるくらいの温度だ。

すぐ後に2人連れのおじさん2人が入ってきた。

僕のバックパックを見たらしくて、話しかけてきた。2人は仕事仲間であり、旅仲間で色々遊びに行ってるそう。旅をしたら記録を付けてどこかに発信するべきだ、と言われたのではいそうですねと返す。聞けば、映画を撮っているらしい。

今までどこに行ったとか、こんなことがあったとかの話をしたら面白がってくれて、その後ラーメンを奢ってくれた。

このラーメンがまた特別にうまくって、僕はさらに上機嫌になった。

 

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お2人と別れた後、せっかくだから海も見に行こうと思って、海岸へ歩いた。

何枚か写真を撮っていたら、写真を撮ってくれないかと白人の家族に声をかけられた。

どうやら若い夫婦が日本で暮らしていて、その家族が日本に遊びに来たという感じみたいだ。ちょうど、この写真の左に映ってる人たち。

 

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カメラマンを頼まれることは慣れてるので、はいチーズなんて言って適当に撮ったんだけど、お気に召さなかったようで撮り直しをしてくれと言われる。

カメラ持ってるけど上手いわけではないからなぁと思って、言われるがままに撮り直すけどそれもダメでその後5回くらい撮り直しをさせられた。

何も話さないのも気まずいので、国はどこかと尋ねたらウイグルだと答える。「ウイグルどこかわかりますか?」

僕はとっさに思い出せない。

ユーラシア大陸の真ん中の…」

ああ、ウイグル自治区か。思い出したけど、中国から独立したがっている国、くらいしかわからない。何より、目の前にいるのは白人で、中国とまったく結びつかなかったのだ。ウイグル自治区と言ってくれればすぐにわかったんだろうけど、あえて「自治区」と付けないのは、その呼び方は中国視点だからだろうか。

そうか、ウイグルは海がないから、あんなに写真の構図に拘ってたのか…。

僕はなんだか自分の無知が急に恥ずかしくなって、そそくさと逃げるように海岸を後にした。

    

前から熱海に来たら行きたい場所があった。

秘宝館だ。

珍スポットとして有名なこの場所は、まあ端的に言ってしまえばHなものが色々展示してある施設だ。

熱海ロープウェイに乗ると、その駅に堂々と「秘宝館」の文字がある。

ロープウェイには僕以外におじいさんおばあさんの集団が乗った。秘宝館以外にも熱海を一望することができ、熱海城もあるから、秘宝館以外を目的にこのロープウェイに乗る人も多いようだ。

ロープウェイが山頂に到着すると、僕は迷わず秘宝館へ直行する。

入場した途端、石造りの巨大な亀頭に出迎えられ、その後も数歩進むごとに春画だとか、女性器に似てる岩だとかが置いてある。

アトラクションも充実していて、画面の前の椅子に座るとそこにエロいおねえちゃんが映る。画面は反射するようになっていて、そこに座った自分の姿も画面に映り込む。まるで奉仕されているような疑似体験ができるという仕掛けだ。

他には浦島太郎や一寸法師をパロディした映像や、ヴィーナスの誕生モナリザをエロく書き直したもの、くじらの亀頭のレプリカ、古事記にも載っているというディルド(ホントかよ)などなど。展示数は多くて、さすが珍スポット界のエース、なかなか見応えがあった。それでも入場料1700円の価値はないけどな!

決して疲れていたわけじゃないけど、僕はずっと無感情だった。

    

熱海の次は、横浜へ。

実は横浜へ行くのは初めてだ。下調べをしていたわけでもないし、とりあえず中華街へ向かってみる。

まったく期待していなかったんだけど、結構すごくて驚いた。ドイツ村とか、ハウステンボスとかそんなんとは全然違って、栗の押し売りや客引きはそこに確かに生活を感じた。僕にとっては、ここに何百年前に何かがあったみたいな事より、そっちのほうがずっと面白い。

 

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肉まんや焼き小籠包で腹をふくらませた後、みなとみらいにも寄った。

大さん橋が気持ちよくって、うまい具合に風を避けられる場所も見つかり野宿することもできたけど、もしも寝袋のまま船に放り込まれてそのまま北朝鮮に送られたら・・・なんて想像をしてしまったので、野宿はやめた。

マックで充電しながらこの後どうするか考える。

せっかくここまで来たんだから、東京の知り合いに会いに行こう。先のことはわからないし、それなら今できる今のうちに。

18切符を使っているから、その日のうちに中野まで移動して、ネカフェに泊まることに。到着した頃にはもう、日付は変わっていた。