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途中までそっちに行くのかーと思ったけど、最後数ページでそっちだよね!ってなって良かった。
昨日(2017年3月13日放送)の『伊集院光 深夜の馬鹿力』でこんな話があった。
でもしてみりゃさ、野球だって牛の皮を丸めたものを木の棒でひっぱたいて遠くに飛ばすって何? しかも大人が全員巨人帽とか被ってんだよ。巨人だから(笑)。水道橋で木の棒でひっぱたいて、億もらってるってどういうことだよ。
そんなの鶏そぼろをコンビニ袋に入れて広範囲に撒き散らす奴と一緒じゃん。よりいっぱい鶏そぼろが周りにバーンってなった奴が勝ちのゲームと一緒じゃん。
それが俺らで流行ってる流行ってないのおかげでこんなに違うかっていう。
なー。主人公がたまたまやったのが野球でそれの才能があったら、エースピッチャーとかになるのになー。コンビニバイトの才能があったってなぁ。スタンド能力発現したけど、飲み物温めることと頭に花を咲かせることしかできない、みたいな。
主人公はコンビニ店員の才能があったから食えてるからまだマシだけどね。これが伊集院光が話してた、鶏そぼろ撒き散らす才能だったら食ってけないよ。本書のタイトルが『鶏そぼろ撒き散らし人間』じゃなくて本当に良かった。まったく救いがない話になる。芥川賞も取れない。
それともコンビニってマニュアルがきっちりしてるから、誰でもできるんだろうか。うーん、主人公が「言われたことはやる系発達障害」だからできてる気がする。僕がコンビニ店員になっても白羽みたいにすぐクビになる未来しか見えないな。
だってコンビニ店員って相当高度な仕事だよね。本文中で仕事量が半端じゃないことは描かれてるし、これから色んなことが機械化されていくけど、コンビニ店員は最後まで人がやるだろうってなんかで読んだし(いろんな形の新商品がどんどん出るとロボットでは対応できないから)。
でも、コンビニ店員できたら、日本中…もしかしたら世界中どこだって生活できるよね。それはなんか楽しそうだ。
僕が「俺は山奥ニートだ! なんか悪いか!」と主張しているように、主人公にも胸を張って「コンビニ店員でなんか悪いか!」と開き直って欲しい。
最後の数ページの主人公はとても格好良い。店長、もっと時給を上げてあげてくれ。彼女がいなきゃ店回んないんでしょ。きっと「コンビニ人間」みたいな人が人類を進歩させるんだと思うんだ。
主人公はたまたま「コンビニ人間」だった。
どこか別の世界では「鶏そぼろ撒き散らし人間」がのたれ死んでいった。
「ホームラン人間」は何億円も稼ぐ。
何人間でもない人は、ゴシップで盛り上がってりゃいいじゃないか。これから先、色んなことがもっと複雑になっていく。そうしたら、ひとりの天才が何千人、何億人分の働きをすることがあるはずだ。それはきっと「○○人間」に違いない。だから、「コンビニ人間」が生きやすい社会のほうが効率がいい。子供1人産もうが産まなかろうが、そんなの小さなことだ。主人公が「コンビニ人間」であることはもっと偉大だ。それでいいんだよ。僕は全力で肯定したい。
どうかすべての「○○人間」に幸あれ。