スマートフォンが届いた。
妻が僕に送ったものだ。
最近僕がTwitterもblogも書かないもんだから、何をやっているかわからないと業を煮やして買ってくれた。
一年ほど前に5000円のFireタブレットを買ってしばらく使っていたんだけど、どうにも鈍い。カメラも少し暗いと見れたものじゃなく、次第に使わなくなっていた。安物買いの銭失いだ。
スマホを手に入れたと言っても、とりあえずはwifiだけで使うつもりだ。どうせ山奥を降りることなんてあまりない。最近じゃゼロシムなんて言って基本料がタダのものもあるみたいだけど、必要に迫られてから考えよう。
そんなわけで、午前十時ごろ布団の中から妻に「おはよう」と送る。
しばらくノートパソコンを開いて何かやってるうちに腹が減ったのでリビングへ。
イタドリか何かの山菜のアク抜きをしててコンロが全てふさがっていたから、アルミホイルにマヨネーズで土手を作って卵を落とす。ウィンナーと一緒にオーブントースターに入れて10分。昨日の残りのご飯の上に乗せて食べる。
僕の知らない洋画を2~3人が見ていた。
部屋に戻って、さて何しようと思っているうちに鼻血。
この時期は鼻血が出るものなのだ。子供のころからずっとそう。
花粉なのか季節の変わり目なのかわからない。
他の人は滅多に鼻血を出さないと知って驚いたのは二十歳を越えてからだ。
鼻をかんだ時に出る鼻血はすぐ止まるが、今日みたいに自然と出たときはなかなか止まらない。
鼻に詰めたティッシュがみるみる真っ赤に染まる。
何年か前に一回医者に診てもらうべきだと友達に言われて、耳鼻科へ行った。
女医に「いつからですか?」と聞かれ、「産まれてからずっとです」と答えたら笑われて、それきりだ。
結局原因はよくわからない。
同じ鼻血よく出る仲間と出会ったときに、鼻の内側をコテで焼かれたという話を聞いた。
そんなの恐ろしくってたまらない。
山に住む爺さん婆さんは医者嫌いが多い気がするけど、僕もその一人に連なるようだ。
ようやく血が垂れてこなくなったので、外にある手洗い場で顔についた血を落とす。
出血したのは300mlもないだろうけど、鼻血が出た後は貧血なのか頭がぼーっとしてふらふらする。喉が乾くし、塩辛いものものが欲しくなる。
「血が足りねえ、何でもいい、食いもんじゃんじゃん持ってこい」
カリオストロの城のルパンの気分だ。
ルパンと言えば、原作者のモンキー・パンチさんが亡くなったらしい。
彼の人の漫画は一度も読んだことがない。
Twitterで流れてきた「これで銭形警部が一人飯する漫画が書けるな」というのには笑ってしまった。
不謹慎な笑いだ。
自分が死んだことをネタにされる気分がどういうものなのか、想像がつかない。
結局、午後はだるくなってしまって、文庫本を3分の1ほど読んだだけで終わってしまった。
日暮れ前に、せっかくスマホがあるのだから、何か面白いものを撮ってフォロワーに見せてやろうと家の周りをうろついたが、枯れかかったスズランが弱々しく咲いているだけだった。
グループチャットの通知が来る。
買い物に行った人が、刺身を買ってくるらしい。
今晩は宴会になりそうだ。
だるさは抜けないけど、一人で何かする気力もないので、重い頭でリビングに行ってみようか。