山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

日記3/1

冬の始めにやってきたてんとう虫が、冬眠から覚めて部屋を歩き回っている。
小学校へ入る前の頃、昆虫図鑑を見るのが好きだった。甲虫のページには、かぶと虫やくわがた虫に並んで、てんとう虫が載っていた。幼少の時分からひねくれ者だった僕は、いかにも人気がありそうなかぶとやくわがたより、てんとう虫を好きになった。てんとう虫の赤や水玉模様や丸っこさはなんとなく女を連想させる。だから他の男子はてんとう虫に見向きもしなかった。しかし、僕はてんとう虫は肉食なのだから、木の蜜なんてものを啜っているかぶとやくわがたよりも強いと主張した。遊び仲間がそれに納得していたかは覚えていないけど、僕はその主張に満足していた。ああ、いつの日か、このてんとう虫という素敵な甲虫を生で見てみたい。それが小さな夢だった。
庭でいつも見ている、5mmほどの小さな虫がてんとう虫だと気づいたのは、小学校に入ってからだった。
だって、図鑑にはかぶと虫と同じサイズで載ってるんだもん。あれくらいの大きさだと思うじゃんか。真実を知ったときはがっかりしたが、そんな思い出もあっててんとう虫は今でも好きだ。

起きたのは10時ごろだったが、布団の中からネットをだらだら見てしまい、リビングに行ったのは15時だった。ウィンナーを炒めて適当に昼飯にする。気分を変えようと風呂に入る支度をしたが、ちょうどヨシくんが入るところだった。リビングでは『シティ・オブ・ローマ』というボードゲームを4人でやっていた。

風呂から出た後は、少し部屋に戻ってネットを見てしまった。夕方、リビングへ出ると、ヨシくんとジョーくんがこたつでお酒を飲みながら、新型コロナウィルスのせいで無観客となったライブを見ていた。HIPHOPだったからよくわからない。ときおり、NUMBER GIRLに変わった。ヨシくんはZAZENのほうが好きだと言っていたけど、僕はナンバガのほうが好きだな。と言っても、高校生の頃、同級生にCDを借りたきり、あまりちゃんと聞いたことがない。このCDを返すとき、ケースにヒビが入っていて、同級生から咎められたんだけど、僕は自分じゃないと言いはった。実際まったく心当たりはなかった。でもせっかく貸してくれたのだし、心当たりがなくても自分のせいでケースが割れた可能性は高いわけで、その時の態度をずっと後悔していた。その同級生とは、それからあまり親しくなることもなく、卒業してしまった。一昨年、同窓会でその子に会ったとき、この話を謝った。もちろん、その子は覚えていなかった。なんだかいい話風なようだけど、結局のところ僕は「同窓会でどうでもいいことを謝る」というなんとなくエモい儀式をやりたかっただけなように思えて、新たな後悔が生まれた。

2人がお酒を飲んでいるのを見ていたら、なんだか羨ましくなったから、僕も部屋からウイスキーと炭酸水を持ってきた。
新型コロナのおかげで、なんだかちょっとしたお祭り気分だった。
酔った勢いで、前から使いたいと思ってたディズニーデラックスを契約した。ディズニーのサブスクだ。一ヶ月700円。

晩ごはんは炊き込みご飯だった。お酒を飲んでいたので、サラダだけ先に食べて、炊き込みご飯は深夜に食べた。リビングでは麻雀が始まった。不慣れな人がいたので、横から「これ捨てたらリーチですよ」と教えた。しかし、フリテンになっていた。僕が人生でやった麻雀回数は両手で数えられるほどだ。出過ぎた真似をした。ゲームをしている横から口出しするとろくなことがない。

そのせいなのか、それからお酒を飲んでもあまりいい気分になることがなく、部屋に戻ってもだらだらとVtuberの動画を見ながら気づいたら眠っていた。