山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

田舎は散歩がつまらない

山奥は散歩がつまらない。

街で散歩すると、看板の色んな文字が目に入る。それは歩くだけでたくさんの情報をもたらしてくれる。

それにすれ違う人。歩くたびに違う人とすれ違う。時間によっては誰とも会わないかもしれないし、たくさんの会社帰りの人や学校帰りの人に追い越されるかもしれない。

山奥で散歩するとそういったことがない。

目に入る花や木はそれぞれに名前があって、情報があるんだろうけど、知らなければそれはただの背景でしかない。季節ごとに少しずつ葉の色は違うんだろう。その違いに気づけなければ山奥の散歩は単調だ。どれだけ歩いても新しいお店ができていることはないし、どこか目指す場所もなければ寄り道する場所もない。

なにより一本道で、来た時と同じ道を通って帰らなくちゃいけない。

山奥にいて退屈だなと思うのはこういう時だ。家の中でネットをしている時はどこにいたって同じなんだけど、外に出てぶらつこうと思うと同じ(ように見える)景色がどこまでも続く。

教養があれば花や木の名前がわかって、都会の看板と同じくらいの情報が目に入るのかもしれない。でもそうでなければ何もない荒野が続いているのと同じだ。

これをなんとかしたい。

たとえば、散歩の途中で休憩できる場所を作るのはどうだろう。お気に入りの切り株を見つけたり、ちょっと失礼して道の途中に椅子を置くのだ。その椅子の下にお菓子やジュースなんかが置いてあったら素敵じゃないか。動物に荒らされたり台風とかで飛ばされる可能性があるから、大したものは置けないけど、なくなっても構わないようなものをちょっと置いておいて休憩所にするのは楽しそうだ。

もっといいのは、近くに友だちがいることだ。今僕たちは同じ家に住んでいるけど、別々の家に住むようになったらもっといい。空き家はたくさんある。持ち主を探すのは大変かもしれないが、これだけの数があれば無理ってわけじゃないだろう。僕たちはこれから引っ越すけど、今住んでいる場所にできた知り合いのおじいちゃんおばあちゃんを散歩の途中で訪ねたい。珈琲とお菓子をいっぱい出してくれるから。

そんな風に散歩道にたくさんの楽しみをつくりたい。

自分の家を町のようにしたいし、自分の町を自分の家のようにしたい。

去年の夏に尾道に行った時、ヤドカーリというゲストハウスに泊まったんだけど、そこがまさにそんな感じだった。店の中なのか外なのかわからない曖昧な場所があって、道ゆく人たちが中にいる人に声をかけていた。山奥であんな風な場所ができたら、最高だと思うなー。