『11人もいる!』はぼく史上一番好きなドラマになりました
面白いものと一口に言っても、いろんな面白さがある。
笑えるもの、泣けるもの、続きが気になるもの、考えさせられるもの、考えを変えてしまうもの
『11人もいる!』はその全部だった。
あらすじは
夫婦+8人の子どもの大家族。
そこに死んだ前の奥さんの幽霊が現れる。
しかしその幽霊は今の奥さんとの間にできた末っ子にしか見えなかった。
そこで起こるドタバタ劇。
何が面白いって、まずはキャストが面白い。
ドラマを観るのなんていつ以来かわからないくらい久しぶりに観たけど、ドラマならではの面白さ。
神木隆之介がゲイバーで働いてるのは噴いた。
その他の俳優も全員最高にいい味出してる。
中でもお母さん役の光浦靖子がツボ。
もうなんか光浦靖子が喋るだけで泣ける。
母性が凄い。
最終回で歌った時は笑っちゃったけど。(なんてったって「あの」光浦靖子の歌)
脚本は宮藤官九郎。
合う合わないあると思うけど、ぼくは宮藤官九郎の作品は全部好き。
最近観た『少年メリケンサック』も面白かったな。
ここまででも十分に面白いんだけど、このドラマが特別なのは「震災以後」を目に見える形で描いてるところ。
5話で直接的に震災疎開してくる子が出てくるんだけど、それだけじゃなくて全体を通してクドカンの思う震災以後の日本のあり方を示している。
たった8ヶ月であの不条理で信じられない出来事を形にしたスタッフは本当に凄い。どんな頭の中をしているのか覗いてみたいくらいだ。
貧困、できちゃった婚、いじめ、性同一性障害、ニート、重いテーマをひっくるめて笑わせてくれた。
そもそもこのドラマを観ようと思ったのは、宇野常寛が『輪るピングドラム』を語るときにこのドラマを挙げていたんだよね。
震災以後の新しい家族のあり方だって。
2つに共通するのは、古い家族って言葉より広い家族だということ。
『11人もいる!』なんて、幽霊も家族だからね。
嫁の元カレも、先生も、おじさんも、おじいちゃん(おばあちゃん?)も家族。
11人から増えたり減ったりするってところが好きだ。
核家族で育ったぼくらは、家族について難しく考えすぎなのかもしれない。
1話で「助けあったり、励ましあったりしなくていい。それが家族」と言ってるように、もっと気楽なもののはずだ。
『輪るピングドラム』の言葉を借りれば、運命の果実を分けあったらもう家族ってことでいいんじゃないだろうか。
もともと僕の中にあった擬似家族への憧れがますます強まった。
「きっと何者にもなれない」ぼくたちは「ピングドラム」を手に入れることが「生存戦略」なのだ。
このへんはぼくも年をとったってことなのかもしれない。
昔はヒーロー願望というか、「俺はビッグになってやるぜ!」って気持ちがあったけど、最近はヒーロー物にまったくピンと来ない。
『まどか☆マギカ』は最後まどかの自己犠牲によってすべてが救われたけど、ああいう終わり方はいまいちだ。(まどマギの大事なところは最後じゃないけど)
世界を変えることはできないけど、残酷な世の中でも楽しく暮らせるはずだ。
ぼくも早いとこ子ども作るかなw