少し前に共生舎では俳句部が誕生した。
入るのに部員届はいらない。なんとなく趣味が同じもの同士が集まることを部活と呼んでいるだけだ。他に釣り部、狩猟部、麻雀部、マジック・ザ・ギャザリング統率者戦部などいろいろある。
僕も前から俳句をやってみたと思っていた。
特にそう思ったのは半年ほど前に、渥美清の俳句の本を読んだことだ。
僕が好きな句を幾つか紹介。ちなみに渥美清の俳号は「風天」だ。
団扇にてかるく袖打つ仲となり
朝寝坊天気予報は風を告げ
納豆を食パンでくう二DK
天皇が好きで死んだバーちゃん字が読めず
さくらんぼプッと吹き出しあとさみし
情景が浮かんでくる。「あるある!」と思わず膝を打つ。単純なことしか言ってないのに、そのときの気分が当たり前に想像できる不思議。
どうやら俳句部の今回のお題は「雷」らしいので、それに沿った句を作ろう
ついさっき雷があった。その時思ったことはなんだろう
- 雷の音で顔を上げて、雨が降ってないか確かめた
- 雷の音って音というより空気の振動という感じ
- 子供の頃、雷が光ってから音が聞こえるまでの秒数で落ちた場所との距離がわかると聞いた。僕は怖がりだったので、光が見えると必ず数字を数えて、家から遠いことを確認して少し安心していた。今でもそのときの癖で、稲光が見えると数を数えてしまう
- 雷鳴の後、虫の鳴き声が静かになった気がして、その後にパラパラと大粒の雨が降ってくる音が好きだ
- 雷がなるときは大抵湿度が高くて、じっとりとTシャツが背中に張り付いている
- 背中やお腹を汗のしずくが流れていくのは少し気持ちいい
- パソコン買ったばかりだから、雷が近いと心配になって電源を抜く
- 山の上の雲は明るいので、たぶん夕立だろう
- 雨が降ってきた途端、共生舎チャットがポップアップして洗濯物取り込んだほうがいいと書かれていた
- 稲光ってパソコン見てると、一瞬真っ白になってパソコンの不具合かと思う
- その後、ゴロゴロという音が聞こえて、雷だと安心する
やっぱり面白いのは怖がりだから雷の距離を測ることだなー
- 稲光 臆病者が 数かぞえ
うーん、あまりよくない。そのまますぎる。
- 閃光に 息止め数える 夕間暮れ
何を数えるのかわかりづらいなー。ちゃんと数を数えるか言わなきゃ駄目だろうか。
- 稲光 カウントアップ 開始かな
虚無だなぁ。ぜんぜん物語じゃない。
- 稲光 いちにいさんと 距離測る
少しよくなったけど、「怖いから距離を測る」というニュアンスが欲しい。
- 光ったと 数を数えて 遠雷か
別に数を数えるはいらない説、
- 光ったと 息を潜める 遠雷か
「光った」だと子供っぽい。それはそれでいいんだけど、大人が雷を怖がって距離を測るところを詠みたいな。
- 閃光に 息を潜める 遠雷か
「遠雷か」の「か」は切れ字なのか「遠雷かぁ」の口語なのか中途半端?
- 閃光に息潜め 遠雷かぁ
これくらい大胆にやってもいいかも。16しかないけど。
- 閃光に息潜め 遠雷でした
もっと振り切ってみた。これで17。もう何がいいのかわからない。
- 閃光に 数えて待つよ 雷音を
一旦戻って子供っぽくしてみた。
- 稲光 数えて計る 十五秒
十五秒いいなぁ。これ使えば「数を数える」なんて無粋なの使わなくて済むじゃん。
- 稲光 息を潜める 十五秒
数えるがないと十五秒の意味がわからないかなぁ。
- 雷光に 強張る体 十五秒
まー悪くないんじゃないっすか。ところで十五秒って遠すぎ? 1秒につき340m離れてるらしい。十五秒は5kmちょい。10kmまで聞こえるそうなので、おかしいってことはないか。参考:光と音で雷の距離を知ろう | 音羽電機工業株式会社
- 雷光に 強張る体 五秒間
近くしてみるとこうなる。
ここまでで30分くらいですね。うーん。とりあえず俳句部にはこの2つを提出しておこう……。
- 雷光に 強張る体 五秒間
- 閃光に息潜め 遠雷でした