山奥ニートと猫
phaさんがニートは猫を飼え!って言ってたけど、僕はそんなに猫好きじゃない。猫を見ると声色を変えて近づいていく人を冷やかな目で見ている。
でも嫌いってわけじゃない。向かいのおばあちゃんが猫を飼っていて、こいつがすごく人懐っこい。にゃあにゃあよく鳴くし、体がかゆいのかよく擦り寄ってくる。
さて、昨日の朝、梅取りに出かける前に、その猫がうちの屋根の上で鳴いていた。
うちの近くまで来ることはあっても、屋根の上にいるなんて珍しいなーと思って見ていたら、向かいのおばあちゃんがそれに気づいてこちらへやってきた。
聞けば昨日の晩御飯の時にいなかったらしい。どこへ行ったかと心配していたけど、うちの屋根の上にいたというわけだ。ジョー君曰く、夜のうちに屋根の上で物音がしていたそうで、その時からそこにいたというわけだ。
年寄りの猫だから、屋根から降りられなかったのかと思い、おばあちゃんは屋根に梯子をかけてやった。
僕らはそのまま梅取りに向かったのだけど、おばあちゃんはそのあともしばらく猫に呼びかけていた。
梅取りが終わって、お昼過ぎに帰ってきたら、数匹の大型犬がうちの周りを鎖なしでうろついていた。
何事かと思ってビビりながら見ていたら、すごいスピードで屋根の上にいたはず猫が飛び出して逃げていく。それを追いかける犬。
猫はうちの縁の下に入ることで、無事に逃げ切った。聞けばあの犬は猟犬で、この近くの猟師さんが飼ってる犬らしい。その散歩だそうだ。こえー。
まあとにかく猫は屋根の上からいつの間にか降りていた。ああよかったよかった。
と思っていたら、今日の朝、また猫が屋根の上にいる。そしてにゃあにゃあ鳴いている。
うーんこいつはどうも屋根の上から降りられないわけじゃなさそうだ。大体屋根の上といっても、うちは平屋なので高さは2mちょい。人間でも飛び降りたっていいくらいの高さだ。
向かいのおばあちゃんは、猫は死期を悟るとどこかへ行くって言って心配を募らせている。
とにかく何も食べてないとどんどん弱ってしまうだろうと判断して、猫缶を屋根の上に置いてみる。すると、すぐに駆け寄ってきて、半分ほど食べた。
何かに怯えているのかと思ったけど、少なくとも人間に怯えているわけでもなさそうだ。
昼過ぎまで様子を見ていたけど、降りてくる気配がない。小雨も降り出した。
窓に足をかけて、手を差し出してみると、いつものように体を擦り付けてきた。こりゃいける、と思ったので、そのままジョー君が猫を捕獲。おばあちゃんに引き渡した。
結局なんだったのか・・・。単純に屋根の上が気に入ったんだろうか。猫の考えることはわからん。