山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

ウォッチメン感想【ネタバレなし】

ウォッチメンを見ました。

昔から「ヒーロー」という存在が好き。

この映画は「現実世界(社会)にヒーローがいたらどうなるか」という映画。

時代は冷戦真っ只中の1985年。

いつ世界が核戦争で滅ぶともわからない状況で、アメリカに本物のスーパーヒーローが現れる。

その名もDR.マンハッタン。

無敵の青いフルチン野郎。

それの真似して自称ヒーローたちが現れる。

「ナイトオウル」「シルクスペクター」「ロールシャッハ」「コメディアン」「オズマンディアス」

スーパーヒーローと自称スーパーヒーローたちは悪人を懲らしめたり、

ベトナム戦争の手助けをしたり(そのせいでベトナム戦争に勝つ)、

大統領を守ったり(そのせいでずっとニクソン)、レイプしたりと好き放題。

それによってできたのがヒーロー禁止条例で、自称ヒーローたちは引退。

本物のスーパーヒーローのDR.マンハッタンも物理学者として新エネルギーの開発に勤しんでる。

そんなところで、元ヒーローのコメディアンが殺される。

こっそりとヒーロー行為をしていたロールシャッハがその調査に乗り出す。

という話。

なんで一人しか殺されてないのにヒーロー狩りだと決め付けてるんだよ!とか

いや最強なのはわかるけどフルチンなことに誰か突っ込まないのかとか

登場人物多すぎて頭がこんがらがる!とか

思った以上にエグいんですけど!とか

そもそも長すぎるわー!とか

そういう欠点を抱えつつ、

アクション格好良いなぁとか

意外とCG良いねとか

映画小ネタがあるなぁとか

OPが「The Times They Are A-Changin'」でいきなり好印象だなぁとか

まぁその辺の表面的なところはともかく。

そもそもヒーローなんて全員自分の価値観で悪いと思った奴にリンチを加えてるだけだ。

それって正しいの?

というのがテーマ。

それが現代のアメリカの姿うんぬんとかはまぁ勝手に投影するなりなんなりしてくれってところで。

最近「fate/stay night」をやっていて、主人公のシロウくんにどうも違和感を感じていた。

まだ途中までしかやっていないのでこれからどうなるか全然わからないんだけど、とりあえず今の段階では正義の味方になりたいってお前それただの自己満足じゃねーかと。

そんな感じで、バッドエンドになるたびにシロウざまぁwwwwメシウマwwwwとか言ってるところなんだけど。

もともとぼくはヒーローとか正義の味方とかいう存在に憧れてるはずなのに、同じように正義の味方を目指すシロウくんに共感できない違和感。

それをハッキリと認識することができた。

ぼくの中で「ヒーロー」と「正義の味方」は全然別のものだった。

当たり前じゃんと言われるかもしれないけど、強い力を持ってるという点で二者は同じだ。

「正義の味方」じゃなくても「ヒーロー」だし、「正義の味方」は「ヒーロー」というわけでもない。

たとえば、ぼくのなかではオアシスのリアム・ギャラガーはまちがいなくロックンロールスターでありヒーローなんだけど、社会的には正義とは程遠い事件ばかり起こしている。

色んな雑誌で言っていることなので正確な文章は思い出せないけど、甲本ヒロトはそういうヒーローが苦しい人を救うんだと言っていた。

ブルーハーツのころと今のクロマニヨンズヒロトでは全然印象が違うし曲も全然違うけど「がんばれって言ってやる」と叫んだのは、そういうヒーローが誰かを救うという思想があったからなんだとぼくは思う。

だからヒーローは正義じゃなくて良いのだ。

どっちが正しいかなんてどうでも良くて、どっちが面白くて刺激的なのかだ。

ぼくの環境が平和だからこういう考えをするんだろうと思う。

とにかく、ぼくの中での「ヒーロー」は平和を守る使者じゃなくて、現実をぶっ壊す奴なのだ。

映画の話に戻って。

結局この映画ではヒーローは必要とされない。

その代わりに必要なものが示される。

でもそれは生々しくて認めたくない。

しかしそれはぼくの少ない経験の中ですら何度かあったことで、きっと誰にも心当たりがあるんじゃないかと思う。

人間が嫌になる。

そんな風になったときにこそ、現実から目を背けさせてくれるヒーローは必要なんじゃないかと思う。

にしても、福本次郎の批評は酷い。(ネタバレあり)

「~というオチ」とネタバレしてるんだけど、どこをどう解釈したらそうなるのやら…。

それ以降の文も散々そこに至る過程を説明されてるのにも関わらず「軸足の定まらないスタンス」とか…。

なるほど、「一味違う映画評」だなぁ。

まぁ、我らが前田有一もこの映画にはちょっと過大評価しすぎ(というか高得点が付くタイプの映画ではない)とは思うんだけど。(こっちはネタバレなし)