「甲賀流忍者ぽんぽこ」というバーチャルYouTuberがおりまして、もう1年以上ハマっています。
人にあった時は隙あらば、ぽんぽこさんの話をしてます。そのかいあってか、同居人の何人かが好きになってくれて、リビングで一緒に動画見ることがあります。
2月の、レンタルなんもしない人さんたちとのトークイベントで着てたのは、実はこれのパーカーだったんですよ。(当日、コラボカフェに行って買ってきた)
(成富紀之さんのドキュメンタリーより)
大好きなぽんぽこさんのために、他にできることは他にないか。お金はないし、文章書くくらいしかできないな、と思って筆を取った次第であります。
それに、自分で本出して、感想を書いてもらえるありがたさが身に染みたんです。あれは本当にありがたい。
というわけで、ぽんぽこさんの魅力を語っていきます。
ぽんぽこさん、一人でやってるわけではなく、相方がいます。彼はピーナッツくんと言います。
説明が難しいんですが、身も蓋もなくいうと彼はぽんぽこさんのお兄ちゃんです。
(正確に言うと、お兄ちゃんが制作・声優をしているショートアニメのキャラクター)
この兄妹の関係がすごく魅力的なんですよ。
わかりやすいのが、この寝起きドッキリ。2人とも実家住まいだからできることです。
【寝起きドッキリ】Vtuberなら寝起きでもちゃんと挨拶できるよね?
男女で寝起きドッキリしたら、なんかやらしい感じになるじゃないですか。こいつら実は付き合ってるんじゃないの?とか勘ぐっちゃうから。
でもピーナッツくんに対するぽんぽこさんの遠慮のなさって、恋人や夫婦じゃ絶対ありえないんですよ。「うざ」とか「キモ」とか抵抗なく言うんです。お兄ちゃん以外には絶対そんなこと言わないはず。
友達の家に遊びに行ったら、その子の兄弟に会ってしまい、その友達の学校とは全然違う態度見ちゃうことってあるじゃないですか。
それです。
血の繋がりは良くも悪くも、絶対に切れない。血縁だから気が合うわけじゃない。むしろ家族関係でトラブルがない人の方が少ない。でも、多くの場合それでも一緒にやっていかざるを得ないという諦め。
そして、どんな酷いこと言っても離れないという甘え。
そういう関係って、きょうだい以外作れないよ。
「あっち行ってウザいから」って言うのに、機材トラブルあるとすぐ「ちょっとー、お兄ちゃん」って呼ぶんですよ。かわいい。
インタビューで、お兄ちゃんはこう答えてます。
ぽんぽこさんの動画も色々お手伝いをしていますが、プロデューサーというかしこまった立場というよりはシンプルに兄です。
シンプルに兄。
YouTubeのコメント欄では大げさに「ブラコン」とか「シスコン」とか言ってる人がいるけど、そんな特別なものじゃない。ごくありきたりな兄と妹の関係だと思う。妹いないけど。
でも、兄と妹が自然体で会話するのって、テレビや映画では絶対見れないですよ。YouTuberだってできないです。
だって、カメラが回ってたら自分がどう映るかどうしたって気になっちゃうから。
特に女性の場合、顔出してたら、可愛いかそうじゃないかって話にすぐなるじゃん。そしたら、映る方はこの顔の角度は綺麗に見えるな、とか意識しちゃう。カメラの前で飾らない姿を見せるのって、とても難しい。
でも、バーチャルYouTuberだと、皮を被ってるからそれができる。顔が見えないからこそ、ありのままの自分を出せる。
これってすごい発明だ。
他人の生活をのぞき見してるような気分になって、ちょっとした罪悪感すらある。
もちろん、撮影している時はキャラをロールプレイしてるんだけど、それでも滲み出るリアルさ。
それに加えて、ぽんぽこさんってすっごく「普通の女の子」なんです。
テレビに出る女の子って、絶対普通じゃないじゃん。私普通なんですーって言うアイドルだって、その容姿のよさで小さい頃からチヤホヤされてきたからアイドルを目指したわけで。
YouTuberだって同じだよ。容姿やスキルに自信があったり、自己顕示欲が人一倍強かったりする人しかやろうと思わないじゃん。
僕はぽんぽこさんこそ本当に「普通の女の子」だと思うんです。
地方在住。趣味と胸を張れるほど熱心ではないけど、カメラと映画と喫茶店が好き。地元に友達がたくさんいるから、誰かに承認されたいって強く思ってるわけでもない。インターネット文化もよく知らない。パソコン知識もない。
こういう人って、テレビでもネットでも観測できないけど、いっぱいいるんだと思います。
そんなぽんぽこさんがバーチャルYouTuberを始めたきっかけ、「お兄ちゃんに頼まれたから」だからね。そんなの昭和のアイドルのウソじゃん。
でも、ぽんぽこさんの場合は、本当にそう。
お兄ちゃんのショートアニメで女性キャラの声やってるの、お母さんと妹のぽんぽこさんだからね。周りに女の子がいなかったから、仕方ない。
最初は嫌々だったそうだけど、今は動画の編集のほとんどをぽんぽこさんが担当。
毎日投稿していて、1日のほとんどを動画のために使う生活。旅先のホテルや飛行機でも、ノートパソコンを持っていき動画編集。
なんでそんなに頑張るのか。
多くのバーチャルYouTuberは生放送が主体だ。生放送の方がずっと楽にできる。
お兄ちゃんはこう話している。
YouTuberのように瞬間で消費されるのではなく、ストックされていくコンテンツをつくろうと考えていた
https://premium.kai-you.net/article/13/page/2
(有料記事だけど、引用許して。とっても面白いインタビューです)
この考え方ができるのって、実家住まいだからなんじゃないかな、と思う。
東京に住んで、毎月高い家賃払っていたら、こんな悠長なことを言ってられない。いかに早くマネタイズできるかの方が重要だ。
でも、地方なら、じっくり腰を据えて作品を作る余裕がある。
なんかさー、夢を叶えるには東京に行かなきゃ、って話、今でもあるじゃん。
でも何も持たずに上京したって、家賃払うのが精一杯で、うまくいく人なんかほんの一握りだよね。首都圏に実家ある人ってめちゃくちゃ有利だよなー。地方に生まれた時点で、すごいハンデじゃん。なんかそういうの、イヤだよね。ぶっ壊したい。
インターネットがあれば、場所なんか関係ないはずでしょ。
地方からでもシーンに参加できるはず。
ピーナッツくんとぽんぽこさんは、企業に所属してないことに注目されがちで、「個人勢の星」なんて言われるけど、それに重ねて、地方らしさを持つのがユニークだ。「地方の星」ですよ。中島みゆきが歌ってそうだな。
企業所属のバーチャルYouTuberの中にも、地方在住者はたくさんいるだろう。でも、それを仕切る企業側が東京のスピード感で動いているかぎり、東京の論理で動いていく。もっと早く、もっと長く、もっとたくさん。
経済としてはそれが正解だけどさ。
なんかもう飽きたなって。
山下陽光さんという長崎で服作ってるおっちゃんが、「手作りした服をユニクロ並みの値段で売れば、絶対売れる。儲からないから忙しいけど、好きなことだから平気。これをすれば誰でも好きなことして生きていける」とよく言っている。
大変な毎日動画投稿をあえて選んだピーナッツくんとぽんぽこさんは、偶然にもその考え方に近いように思う。
この方法、絶対失敗しないわけです。お金集めて、人雇って、事業拡大してってやってると赤字になって倒産することがあるけど、誰も雇わず、自分が好きなことをずっとやってれば、食うには困らない。昔の人はそうやって生活するのが当たり前だったんだろうな。大変な面もあるだろうけど、サラリーマンよりストレスが少なそうに思える。
去年の12月、ぽんぽこさんが「今月、週一で東京に行ってる」と言っていた。年末だからイベントが多くて、その打ち合わせのためだと。
それ聞いた時、やっぱ地方から発信するのって大変だなー。ぽんぽこさん、都会に憧れあるみたいだし、そのうち上京するのかな、って思った。
残念だけど、仕方ない。
でも、その二ヶ月の2周年記念生放送。
ぽんぽこさんが、西野カナ「トリセツ」の替え歌を歌った。(「トリセツ」をネタじゃなく感動の歌として使うの、めちゃくちゃ「普通の女の子」じゃないっすか)
そして、これですよ。
https://youtu.be/CR5c4I3gzIQ?t=3517
そう! そうだよね!
お兄ちゃんもインタビューで「tofubeatsさんに憧れてずっと地方にいる」と話していた。しばらくは上京する予定なさそうで、なんか安心。
うーん、なんか背負わせるような書き方になってしまった。
言いたかったことはこう。
東京で考えられた、金儲け先行の企画なんかつまんねえ。そんなのもう十分すぎるほど世の中にある。
ぽんぽこさんとピーナッツくんは、それとは違う道を進んでる。
その結果、どこに行き着くかはわからない。
和歌山の山奥で、僕も僕なりのやり方を探していく。
僕が2人に親近感を抱き、応援したいと思うのは、そういうところなのです。
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