山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

「推マ」って知ってますか?

「推しマ」というものを知っていますか。

推しマークの略称だそう。推し絵文字、「ファンマ」とも言う。こっちはファンマークの略。

名前は聞いたことなくても、Twitterでアカウント名や自己紹介の欄に絵文字をつけて、自分があるもののファンだとわかるようにしている人を見たことはあるかもしれない。それです。

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この方の場合は、

救急車=大空スバル

悪魔=百鬼あやめ

おにぎり=猫又おかゆ

彗星=星街すいせい

といった具合に、バーチャルYoutuber7人を推していることがわかります。

この例では1人1文字だけど、かぶらないように1人2文字で表すことが一般的です。

この「推しマ」、文字数が限られるアカウント名や自己紹介欄で最小の文字数で、ファン同士は互いにファンだと気づけて、ファン以外が見てもわからない、という大変合理的な仕組みなのです。

有名人自体がこれ使ってくださいと言うパターンもあるみたいだけど、多くはファンが勝手に決めている。

モチーフがはっきりあるバーチャルYoutuberなら決めやすいけど、アイドルや俳優だとそうもいかず、その有名人が好きな食べ物や知られたエピソード、インスタなどでよく使う絵文字から決まるみたい。

NiziUのマコさんの推しマは、オーディションで「無表情でレモンを食べる」という特技を見せたことからレモン。もうひとつは、好きな食べ物からチョコレートと、天然な雰囲気が似ているからコアラの2派閥がある。

https://moet-678.com/archives/3979

 

この「推しマ」の発祥について調べたんだけど、情報がぜんぜん出てこない。そもそも「推しマ」や「ファンマ」という言葉を意識せずにみんな使っている。おまけに、その当時の名前や自己紹介はログに残らない。

Twitter上では、201745日に「○○たんに推しマつけてもらえてることがもう幸せです」とのツイートを発見。

これ以前の「推しマ」は推しマーケティング、推しってマジ?の略として使われていて膨大な量なので、これ以上は調べません。

どうもSPOONなどの女性配信者が「私の推しマつけてない人はリプ返し、フォロバしません」みたいに表明して、ファンを囲い込むために使っていたっぽい。少なくともTwitter発ではない。

Pixiv百科事典では

個人のファンマだけでなく、ピク婚カップルのファンマやコンビ結成!したコンビのファンマ、ユニットのファンマなどがある。

とあり、VRChatで言う「お砂糖さん」に近い使われ方もされているようだ。

この推しマ、ファンマはインターネットの片隅で行われていた営みだったけど、バーチャルYoutuber界隈に広まったことで一気に流行し、大通りに現れるようになった。

推しマ自体は、おそらく自然発生的に出てきたものだと思う。

僕の妻はポルノグラフィティのファンなんだけど、この話をしたときにポルノクラスタは名前に「」をよくつけているけど、それと同じかな、と言っていた。これは「TRIGGER」というアルバムがあって、それを真似しているそう。

これは原始的な推しマだといえる。絵文字ではなく、ただの記号(角記号)である。

元ネタとなったアルバム「TRIGGER」の発売は2010年。さすがに発売当時から「」が推しマとして使われていたわけではないはずだけど、妻の記憶では2017年より前から使われているとのこと。

これはアイドル文化と、後述のオタク文化を繋ぐミッシングリンクなのではないだろうか。

 

昔のインターネットは、顔文字なんて基本使えなかった。それどころか機種依存文字を使うのはマナー違反という暗黙のルールがあった。

推しマが使われるようになった一番の要因は、スマホの普及に違いない。

しかし、絵文字や記号でなくても、自分の好きなものの影響を受けて名前を変形させる文化はTwitter初期から存在している。

たとえば名前に東方シリーズから⑨、『ささみさん@がんばらない』というアニメが放送されてるときは名前に「@がんばらない」をつけたり、『ダンガンロンパ』から「超高校生級の○○」とか。こういうのは今でもアニメクラスタではよく見かける。「○○上手の☓☓さん」とか。

それの延長線だと考えると、推しマという文化が少し身近に思えてくる。

もっともこれはファンであることを主張し同士を見つけるというよりは、ネタとして消費している面が大きい。

自分たちだけにわかる符丁を決めて交流する、というのは女性オタクの文化っぽいが、そっちの方面にはまったく明るくない。

詳しい人に会ったら、いつごろから推しマ、あるいはその祖先である”推しワード”と呼ぶべき符丁があったのか聞いてみたい。

 

インターネットってつまんなくなったなーと思うことが多いんだけど、それは僕が限られたものしか見ていないせいでそう感じるだけで、僕が知らないインターネットでは新しいものが生まれ続けている。

かつての僕がそうであったように、そこで夢中になって青春している人もいるんだろうな。

僕はもうそこに入っていけないけど。