山奥ニートの日記

ニートを集めて山奥に住んでます。

新型コロナと山奥ニート

この記事はブログリレー「 #新型コロナ時代のシェアハウス」の26日目の記事です。ほかの方々の記事もぜひご覧ください。

 

僕はニートである。

確かに本は出した。買ってください。 

「山奥ニート」やってます。

「山奥ニート」やってます。

  • 作者:石井 あらた
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

既婚であり、厚生労働省若年無業者の定義からは外れた。印税でしばらく収入がある。

でも実際のところ、日々はニートそのもので、なんら生産性のない生活を送っている。

 

共生舎と見学者

僕は共生舎というNPOを運営している一人だ。

NPO共生舎が運営するシェアハウスに住んでいる、ということになるんだろうか。しかし実態は住人たちによる自主運営である。

住んでいるのは、山奥にある50年以上前に廃校となった木造校舎。持ち主は共生舎なので、家賃はゼロ。

共生舎では、見学者の短期滞在を受け入れている。

その理由はこんな感じ。

・山奥なので日帰りで見学が不可能

・山奥で会う人が固定されるので、空気を淀ませないため

NPOの目的に、都会と過疎地域の交流がある

部屋のうち、一つを客間として使っている。

訪れた人は合計200人以上。

見学者はお土産を持ってきてくれたり、珍しい話を聞かせてくれたり、山奥に新鮮な風を吹き込んでくれる。

いいことばかりではない。

1〜2年前から、途切れずに訪れる見学者は住人のストレスになっていた。特にお盆やGWなどの長期休暇に来る人は、共生舎のことをよく理解しておらず、その度に説明するのが大変だ。

なので、2018年の8月や12月は見学者の受け入れを停止していた。

ただ、気まぐれのように無根拠で見学者の受け入れを止めるのは、NPOという立場上どうなんだという思いもあった。

ここはただのシェアハウスではない。

NPO共生舎を創設した故・山本さんが何から何まで揃えてくれた場所だ。

バトンを受けとった者として、ある程度の義務がある。

一方で、住人の負担になっては共生舎そのものが潰れてしまう。

折衷案として、見学者を受け入れるのは1日〜15日まで、とした。

これにより人口密度が低い期間ができて、かなり快適になったように感じる。月初めは静かすぎてつまんないな、とすら思う。他の住人もそう思っているんじゃないかな。

それに、このシステムは他にも2つ利点があった。

1つ。見学者同士の交流が増えた。受け入れが15日間に限られたため、見学者の日程が被りやすくなったのだ。

見学者は客間に泊まってもらうが、他の見学者がいる場合は相部屋になる。それが嫌な見学者もいるだろうけど、短い間なので我慢してもらう。逆に、ここに来なければ絶対に接することがない人と話をしたことで、影響を受けることもあるようだ。大学を辞めようか迷っている10代の人が、相部屋になった40代の人に相談している光景を見たことがある。

それに、見学者同士で話してくれれば、住人が気を使って話しかける必要もない。

2つ。常連や女性を受け入れる余裕ができた。

共生舎に僕が住んでから7年目。定期的に遊びにきてくれる人ができた。今までは部屋がいっぱいの時はそういう常連も断らざるを得なかったけど、16日〜31日に特例で受け入れることで、来てもらえるようになった。

ここで「住人による推薦があれば、16〜31日も見学者を受け入れる」というルールができる。

同性が増えて欲しいと思っている女性住人が、女性なら無条件に推薦することで、女性が来やすくなった。

客間は1つしかなく、男性と女性を相部屋にするのは流石に憚られるため、女性を受け入れるのは難しかった。でも16日以降に来てもらうことにして以来、見学に来る女性はかなり増えている。

他、子連れや何か事情がある場合、16〜31日に受け入れていくことにしている。

 

新型コロナと共生舎

共生舎があるのは山奥なので、はっきり言って新型コロナウイルスは他人事だ。

人口5人の集落まで流行り病が来たとしたら、もう日本は終わってる。

ゾンビ映画における理想郷、それが共生舎だ。(まぁゾンビ映画の場合、だいたいその理想郷は理想的じゃないんだけど)

連日、ツイッターやニュース番組では新型コロナの話題で持ちきりだったが、僕には遠い国の事のように感じた。

4月8日。緊急事態宣言。

共生舎でも「見学者がウイルスを持ち込んだらどうする?」という声が聞こえ始めた。

まずいと思ったのは、訪れた見学者が帰ったあとで「あの人、マスクしてなかったね」と言っているのを聞いた時だ。

国内の新規感染者は1日500人前後。道中、東京や大阪を通るとしても、共生舎に来る人が感染している可能性は限りなく低いように僕には思えた。しかし、これから爆発的に増える可能性もある。新型コロナはどれくらいやばいものなのか? 誰にもわからない。

確かなのは、東京は世紀末的な雰囲気だということだった。

万が一感染者がここに来た場合、この集落は高齢者ばかり。僕らは平気だろうけど、集落の人を自分たちのせいで殺したくない。

共生舎の見学者受け入れを、停止するべきか?

共生舎を、軽はずみに動かしたくなかった。

変えれば変えるほど、創設した山本さんの遺志から離れていく。

しかし世の中の流れは自粛へ急激に傾いていく。

僕一人では判断できない。

現・理事長(創設者の奥さん)に判断を仰いだ。結果、受け入れ停止が決定した。

ツイッターでは、緊急事態宣言と言いつつ「自粛のお願い」という矛盾した政府の対応に批判が集まっていた。

僕は安倍晋三さんの事を知らない。知らない人だから「さん」付けで呼ぶ。僕の底にあるのはアナーキーだから、政治に興味を持てない。ニュースで見ると東京03豊本を思い出して笑ってしまう。

でも、ただのニートであるはずの僕だけど、今は安倍さんの気持ちがよくわかる。

決断するって難しいよね…。

ルールを決めると、その抜け穴をすべて塞がなきゃいけなくなる。

なので、はっきり明文化するより、お願いとか推奨という形にするのが一番丸い。

でも国となるとそうも言ってられないわけで。

今日もテレビ越しに舌足らずに話す日本で一番偉い人を見て、僕はなんだか妙な親近感が湧いてしまうのです。ニートなのに。

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