山奥ニートと鹿２

知り合いから檻を貸してもらって、罠を仕掛けてるんだけど、なかなかかからない。

家からすぐ見える位置に設置してある。家にいても鹿の鳴き声が頻繁に聞こえるし、深夜帰ってくるときは必ずと言っていいほど鹿の群れに出会うからだ。

檻のなかに入った形跡はあるけど、それが鹿なのか狸なのかはわからない。

そんなわけで、毎日かかるかどうかワクワクしながら待っている。

ある夕暮れ、村の人が鹿をくれた。

銃で撃ったんだけど、村の人は鹿なんかいちいち捌かないらしい。あんまり美味しくないからって。

僕らからしたら、食べられるものならなんでも欲しい。

鹿の体は川に沈めてあった。まだ３時間も経ってない、殺したてだ。

もう日没までそんなに時間はないように思えた。雨も降っていた。

暗くなる前に全部捌くのは無理そうだったので、内蔵だけ取って川に沈めておくことにした。

ヨシ君が買ったばかりのナイフで腹を裂いていく。

村の猟師さんはすぐに帰るつもりだったみたいだけど、わからないことが多すぎて結局手伝ってもらった。

僕は次の日に用事があったので、実際に肉を取る作業は写真取れなかった。

帰ってきたら、肉がきっちり冷蔵庫に収められていた。

ローストビーフならぬ、ローストディア。鹿の一番良い部分であるロースを使った。柔らかくてめちゃくちゃうまい。

燻製にしたもの。

一匹で一ヶ月くらい肉買わなくて済むかも。自分たちで穫れるようになったらいいなぁ。