エンドゲーム見るために山から下りた【ネタバレあり】
『アベンジャーズ エンドゲーム』見るために山から下りました。
最高でした。
すべての続き物があんな風に終わったらいいのに、と思いました。
自分なりに気づいたところを書いておきます。
雑な部分もありますが、見終わった興奮のまま書きなぐったものとご容赦ください。
以下ネタバレ
テーマ1、父親
アイアンマンシリーズの大テーマは「父親」です。
わざわざ言うことじゃないけど、最初の『アイアンマン』から『シビル・ウォー』を得て、『スパイダーマンホームカミング』までずっと父親が絡んでます。
今作でトニーが父親になって(すでに『ホームカミング』で父親役ではあったけど)、本物の父親ハワード・スタークが出てくるのはもう必然。
あの再会はこれ以上ないってくらい、いいシーンでした。
テーマ2、アメリカ
一方で、キャプテン・アメリカの大テーマは「アメリカ」です。
今作では「アメリカとは何か?」ってことに対して答えを出していて、良かったなぁ。
最初のネビュラとトニー・スタークが、折り畳んだ紙を指で弾いて遊んでるシーン。
はじめはサッカーかな?と思ったんですが、あれアメフトですよね。指を飛び越えたら得点と言っていたから。
(実は僕はあのシーンが一番うるっと来た。トニー・スタークは別にネビュラの過去を知っているわけではないし、単に暇つぶしに遊んでいるだけだったんだろうけど、それが彼女の心を救ってるっていうのがね。そういうたまんないです。)
アメフトと言えば、当然クライマックスのガントレットを巡る攻防です。ちゃんと前振りしてるんですよ。
アメリカとは何か? 答え:アメフト ですよ。
これだけじゃないです。
アメリカとは? ハンバーガーですよ。チーズバーガーです。チーズバーガーが好きとトニーの娘が言うのは『アイアンマン』一作目のオマージュだけど、上手くキャプテン・アメリカのテーマともかかっています。
今作で出る食べ物は他にスコット・ラングが食べていたタコスがあります。タコスはメキシコ料理だけど、アメリカ人にとっては馴染み深い食べ物なんでしょうか。『レゴ・ムービー』にも出てたし。日本で言うラーメンみたいな感じなのかなぁ。
冒頭のホークアイが娘に弓を教えるシーン。あれ、本当はキャッチボールなんだと思うんです。過去に行ったホークアイがグローブ拾うし、あの時はたまたま弓でしたけど、息子とキャッチボールもするんだと思います。
このシーンで、奥さんがホットドッグに何かけるか聞いてましたね。ホークアイいわく、ホットドッグにマヨネーズかけるのはありえないらしいです。『パルプ・フィクション』で、アムステルダムに行ったらフライドポテトにマヨネーズかけてて驚いたって言ってたのを思い出しました。マヨネーズかけるのってアメリカっぽくない行為なんですかね? アメリカのマヨネーズはまずいって話は聞いたことあるけど。
マヨネーズについてはよくわかんないですけど、とりあえず言えることがあります。
アメリカとは? 野球です。
野球といえば生命が半分になった世界の描写として、誰もいない野球場が映されてました。あれも絶対意図的です。そのあとのグループセラピーでも野球チームがなくなったと言ってましたね。
生命が半分になると、野球ができなくなるんです。そうすると、アメリカじゃなくなるんです。だからサノスの行為は悪なんです。
今作では音楽も印象的ですが、もしかしたら全部アメリカの曲なんじゃないのかな。
あと、アメリカとは?→肥満!とかも言えるけどそれはもういいや。
そしてアメリカと言えば、もうひとつ大きなものがあります。
テーマ3、映画
アメリカとは? 映画です。
今作では映画について話すシーンがたくさんあります。
『インフィニティ・ウォー』でもスパイダーマンが『エイリアン』ネタを言ってましたね。
映画の中で映画のことを話すとき、それは特別な意味を持つものだと思います。
そして、今作は確実に「映画」がひとつのテーマになっていると断言できます。
本編が終わった直後、エンドロールに映される光。あれ何かわかりました?
あれは映写機の光です。
登場人物たちが斜めに映されるのは、スクリーンだからです。
MARVELのロゴが出るとき、コミックのコマがその中に現れます。MARVELの映画はいつもロゴから始まりますよね。
「コミック」で始まったMARVEL映画が「映画」で終わるわけです。
新しいMARVELのロゴだと、コミックから設定画になって実写映画になっていく様子が映されますね。今作のエンドロールは、あのロゴの続きなんだと思います。
テーマ4、自己犠牲
サノスとアベンジャーズは様々な部分で対比されていますが、一番明確なのは犠牲の支払い方です。
ソウルストーンを手に入れるためにサノスは他者を犠牲にします。
アベンジャーズ(ブラック・ウィドウとホークアイ)は自分を犠牲にしようとします。
『インフィニティ・ウォー』のサノスは間違いなく主人公でした。
でも、正義ではなかったのだと今作では言います。
アベンジャーズはサノスの言葉に一切反論しません。
サノスの「生命が多すぎてこのままだとやばい」問題について、アベンジャーズ側はまったく気にかけません。これはちょっと残念でしたが、たぶんこれから先の話につながっていくんだと思います。
言葉での反論は来ないものの、「楽しませてもらう」と言った時点でサノスは語るに落ちてます。そもそも、他者に多大な犠牲を強いているのに、自分はゆっくり田舎暮らししようと思ってる時点で傲慢すぎます。サノスのやってることは「もうひとつの正義」ではなかったなと。
(意地悪く「アメリカとは? わかりあおうとせず、力で解決すること」なんて解釈してもいいですけど)
テーマ5、ヒーロー
良いヒーロー物は必ず「ヒーローとは何か?」という疑問が提示されます。
MCUを(一旦)終わらせる今作のテーマが「ヒーローとは?」であることはもう見る前から決まっています。
で、今までのテーマがそのまま「ヒーローとは?」につながってきます。
ヒーローとは?
1.父親
2.アメリカ
3.映画
4.自己犠牲
これら全部をあわせたのがヒーローです。
これだといくつか疑問が出てきます。
父親しかヒーローになれないのか?→ そんなことない、と言うためにスパイダーマン助けに来る女性ヒーローたちのシーンがあるんだと思います。ペッパー・ポッツがスーツを纏って戦うのも象徴的です。
アメリカ人以外はヒーローになれないのか?→ キャプテン・アメリカの「アメリカ」は国のことではなく精神のこと。アメリカの精神とは、自由(liberty)のために戦うこと。
2019年の映画としてやっぱり「多様性」とか「共存」とかって避けては通れないと思うんです。
サノスとわかりあうって流れにすることもできたと思うんですよ。そのほうが今風です。
でも、今作は「共存を否定する人とも、共存するか?」と問いかけます。
そして、はっきりと「しない」と言いきります。
いろんな人種がいるアメリカだからこそ、はっきりと正義を明示し続ける必要があるってことでしょうか。
その正義のためなら、自己犠牲を払うのがヒーローだ、と。
なんかこのへん、日本とは感覚違うなーと思います。
これが戦争に勝った国と、負けた国の違いなのかなぁ。
とりとめもない感想
- キャプテン・アメリカが一作目で改造されるときに博士から「完璧でなくても善良な君のままで」って言われるんですよ。そして今作、サノスが「私は絶対だ」と言うのに対して「私はアイアンマンだ」ですよ。うーん、痺れる。一貫してる。
- トニーの娘をなでるジョン・ファブローはずるい。もうすぐ公開の実写『ライオンキング』の監督してるんですね。『ファー・フロム・ホーム』にもがっつり出てるっぽいし、めちゃくちゃ忙しそう。
- 『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督がクレジットされてて、どこに出てたっけと思ったんだけど、ソーの友達の岩人間のモーションなのね。そのために呼んだのか…。この人も忙しいだろうに。『AKIRA』の実写版やるみたいですね。
- 全体的に『インターステラー』を思い起こす。やっぱりあの映画は産まれた瞬間から古典だったんだなぁ。
- 【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』ブラック・ウィドウとホークアイ、なぜ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ならなかったのか ─ ルッソ監督と脚本家が経緯を明かす ブラック・ウィドウが死んだのは「冷蔵庫の女」ではないのか問題。正直言うと、僕はブラック・ウィドウをあまり好きじゃなかった(男同士で遊んでるところに急にお母さんが来るみたいな印象)から、一瞬「ん?」と思ったけどそれ以上は引っかからなかったなぁ。一緒に見に行った妻は「なんで殺したのか全然わからない」とご立腹だった。『アベンジャーズ』でコールソンが死んでみんなが奮起するのが叩かれないのに、女だから叩かれるってのはどうも。ただ、あそこでブラック・ウィドウが死ぬのに違和感があるのは事実で、そのへんは単独映画で補完されるのかなぁ。
- アルコ&ピースのANNをたまに聴くので、ファルコンさんいじりも好きでした。ファルコンさんが二代目キャプテン・アメリカになってびっくり。いいの?そいつ、アントマンに負けたこと隠そうとする奴だけど…。
- トニーの葬式に『アイアンマン3』の少年が参列していた件。監督曰く、どうせSNSですぐに広まるから描写しなくてもいいでしょ、らしい。新時代の映画だ。
MCU個人的楽しめた度
未見のものがある人の参考になれば。
S『アイアンマン』(2008年)
A『インクレディブル・ハルク』(2008年)
A『アイアンマン2』(2010年)
B『マイティ・ソー』(2011年)
A『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年)
A『アベンジャーズ』(2012年)
B『アイアンマン3』(2013年)
C『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年)
A『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)
B『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)
B『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)
B『アントマン』(2015年)
A『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)
D『ドクター・ストレンジ』(2016年)
A『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)
S『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)
A『マイティ・ソー バトルロイヤル』 (2017年)
B『ブラックパンサー』 (2018年)
S『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 (2018年)
C『アントマン&ワスプ』 (2018年)
未『キャプテン・マーベル』 (2019年)
S『アベンジャーズ/エンドゲーム』 (2019年)