舞城王太郎最新作。
僕がちゃんと「ファンだ」といえる少ない作家です。
『山ん中の獅見朋成雄』と同じ名前の人が主人公。
舞城王太郎からは「人と違っていて何が悪い」っていうのがひしひしと伝わってくる。
でもこの人のその考え方は、そんじょそこらの人の言うような生半可なものじゃない。
ファウストに『ぬるつべピリリ』って漫画をこの人、描いてたんですが、それが一番わかりやすかった。
ネタバレだけど、話の最後に主人公の腕が一本になってしまう。
腕が取れたとかじゃなく、腕組みのまま一本に繋がってしまう。
そこで彼は全然困った様子もなく言う。
「きみを抱くのにちょうどいい」
格好いい。
けど、そこまで来ると引く。
そういうのが真のバリアフリーだとか、乙武さんだったか誰かが言ってたような気もする。
でもまったく一ミリも悲しまないで、平然とそんなことを舞城王太郎は言わせる。
この『SPEEDBOY!』の主人公も同じで、周りと変わっていることを少しも変に思わない。
しかし「明るい」ってわけでもない。
何も感じてないだけ。
そこが少し怖いと思った。
周りを気にしない、っていうのは羨ましいし、そうなりたいとも思う。
でもその一方で「みんなと一緒」をまったく諦めてしまうのは、寂しいんじゃないか。
そう思うのは、そこまで思える強さを持っていないからかな。
でも僕はこの主人公がむかついた。
それは羨ましいからじゃないと思う。
こういう風に思うのは僕が諦めるってことが嫌いだからかな。
わけわからない構成については僕もわけわからなかったので、あえてスルーです。
結局、時間列がバラバラなだけなのか?
でもやっぱり矛盾するんだよなぁ
なんなんだ。
このイミフさもいいんだけど、そろそろこのぶっとんだ文体のまま、ちゃんとした話を読んでみたい。